第十五章・真名歌国

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「美しいな……」 陽翔は花々を見つめながら、黄昏れていた。 「まるで……」 芳翠は言いかけてすぐに口をつぐむ。 「いや、いい。お前の言いたいことはわかる。きっと桃艶(トウエン)が居るかのようだ……じゃないのか?」 陽翔は、悲しく微笑んだ。 「申し訳ありません。こんな祝の席で……」 芳翠は深々と頭を下げた。 「いいんだ。私も同じことを考えてたからな」 「陽翔様……」 「この花々は桃艶が好きだったものだ。思い出さない方がおかしいよ」 花は、生き生きと咲き誇っている。桃艶の死を否定するかのように。
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