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「いたたたたっ」
全身に打撲を受けたような痛みが、瑠梨を襲った。気がついた時には、地面に横たわっている状態だった。
「み……お……だい……?」
倒れている体を起こしながら、澪が無事だったかどうか確認しようと話しかけたけど、周囲の景色を見て愕然とした。
「えっ? 何? ここ……」
さっきまでバスの中にいたはずなのに、なぜか目の前には、緑豊かな山々と大きな湖が広がっている。
「ひめさまーーーー、姫さまーーーー」
遠くの方で青年のような声が聞こえたかと思うと、今度はビュンッッッと勢い良く、何かが瑠梨の真横を通り過ぎた。
「キャッッッ」
その何かに驚き、身を屈める。
「ヒメサマ、ハッケン、ヒメサマ、ハッケン」
人ではない不思議な声に、思わず瑠梨は見上げた。
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