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「美しい姫君でしたから……」
芳翠は、花々に見惚れている。
「芳翠の初恋だったんだろ?」
陽翔は、核心をついた。
「お気づきだったんですね……」
芳翠は、陽翔から目線をそらした。まるで、素顔を隠すかのように。
「あぁ、桃艶が生きていた頃は認めなかったけどな」
芳翠の様子に気がついた陽翔は、あえて背を向けた。
「それは……言えるはずがありませんよ……まさか、陽翔様の妹君を好きだなんて……」
芳翠の言葉が詰まる。
「私は、芳翠が相手なら良いと思っていたけどな」
陽翔は、芳翠と笑いあっていた桃艶を思い出していた。
「まさか、ご冗談を。立場が違い過ぎます」
芳翠は、無理矢理明るい声を出した。
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