第十五章・真名歌国

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「美しい姫君でしたから……」 芳翠は、花々に見惚れている。 「芳翠の初恋だったんだろ?」 陽翔は、核心をついた。 「お気づきだったんですね……」 芳翠は、陽翔から目線をそらした。まるで、素顔を隠すかのように。 「あぁ、桃艶が生きていた頃は認めなかったけどな」 芳翠の様子に気がついた陽翔は、あえて背を向けた。 「それは……言えるはずがありませんよ……まさか、陽翔様の妹君を好きだなんて……」 芳翠の言葉が詰まる。 「私は、芳翠が相手なら良いと思っていたけどな」 陽翔は、芳翠と笑いあっていた桃艶を思い出していた。 「まさか、ご冗談を。立場が違い過ぎます」 芳翠は、無理矢理明るい声を出した。
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