第一章・偶然なのか必然なのか

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「いいねぇー。若いねー。おじさんも戻りたいわー」   運転手は上機嫌だ。 「はぁ」 瑠梨は、寝起き間もない朝からテンションの高い運転手についていけなくて、苦笑いをする。 「今から学校かい?」 「はい、でも今日は寝坊しちゃって」 「だから、このバスに?」 「そうなんです。寝坊したことないからドキドキしちゃったけど、バスがあって良かったです」 初めて会った運転手はハイテンションで困ったけど、朗らかな人で嫌な感じはしない。 だけど、また、ふと疑問が湧いてきた。 さっき、バスは目の前で通り過ぎたはずなのに、またすぐバスが来るなんて。普段、通勤時間は十分ごとにバスが来るけど、こんなにすぐ来ることなんてない。 考え過ぎかな。ただ、遅れてただけだよね。 そんなことを考えているうちに、次のバス停で止まった。
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