学校の近くの公園には何でも無い思い出がたくさん

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学校の近くの公園には何でも無い思い出がたくさん

公園に着くとそこには人、一人もいなかった。 なんじゃそりゃ。と休憩がてらブランコに座った。 なんとなく空を見上げると、何故だかそこで 急に卒業した実感が湧いてきて寂しくなってきた。 式では泣かなかったのにこんなところで 一人で泣きそう…。てか卒業証書どこ…。 「おい!!遅かったな!!!!!!」 急に背後から大声で叫ばれて ブランコから飛び降りた。 振り返る前に、声で分かった。 「しょーちゃん!!」 「遅いから帰るとこだったよ。ほら、これ。」 しょーちゃんは例の黒い筒を差し出した。 「しょーちゃんの仕業だったの。」 「人聞きの悪い。 昇降口に寂しく忘れ去られた卒業証書を 保護してあげたんだ、ありがたく思えよ。」 「ならこんな面倒くさいことしないで 家まで届けてくれたら良かったじゃん。」 「俺んちと反対方向だし遠いから無理。 お前は絶対探しに帰ってくると思ったし。」 「でもなんでわざわざ公園で。」 「サプライズだよ。ドキドキしただろ?」 「いらないよ、こんなドキドキ。」 「そんなこと言うなよ、今日で最後なのに。 もうお前とふざけたり出来なくなると思うと、 ちょっと寂しいな。ちょっとだけ。」 「そっか、そうだね。 でもまたすぐ会えるんじゃん?どっかで。」 「そうだと、良いな。」 「ありがと、しょーちゃん。 卒業証書も、この3年間も。楽しかったよ。」 「…それだけかよ、言うことは。」 「えっと、またラップ対決しようね?とか?」 「…ばっかじゃねーの。 最後にお前のアホな言葉が聞けて良かったよ。 俺も楽しかった、ありがとう。じゃあな。」 「…ちょっと待って!!」 背を向けて帰ろうとするしょーちゃんを 私は無意識に引き止めていた。 「…何?」 「私の卒業証書、しょーちゃんにあげる。」 「は?貰えるわけ無いだろこんな大事なもの。」 「じゃあいつでもいいから返して。 それまで大事に持ってて!」 「なんだよ、それ。」 「約束だよ!じゃあね!」 自分でもよくわからない約束を 無理矢理取り付けて 自転車に乗って走り去ろうと思ったけど 公園の柵にぶつかって、後ろから 「だっせ!」と笑う声が聞こえたけど 無視して振り向かずに帰った。 振り向いたらきっとまた馬鹿にされそうな ひどい顔をしてたと思うから。
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