プロローグ

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プロローグ

静まり返った部屋。 息をする動作さえ、慎重になっている。 「先輩」 口に馴染んだその呼び方は 記憶に押し込んでいた苦い感情をまた身体に蘇らせる。 灯りのほとんどないこの場で、私は言葉を続けた 「あの日の続き、しませんか?」 胸が痛い。 何度も何度も後悔した。 あの時私が拒んでいなければ 私が我慢をしていれば。 きっと私達はいま こんな拗れた大人になってなかったに違いない 「じゃないと私……きっと前に進めないです」 ギシリ、とベッドが軋む。
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