第一夜:ラババンな夜

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 うたた寝からの爆睡から目が覚めたのは、三時のオヤツが食べたくなる頃だった。お腹すいた、甘いもの食べたいと思って、手探りで探し当てたスマホの画面を確認すると三時ちょっと前。私の体内時計完璧じゃんと軽口を思えるくらい体調は良くなっていて、二日酔いもちゃんと自宅に帰ってくれたみたいだ。淳平センセーありがとうございます。  軽くなった身体を起こしてシャワーを浴びにいく。下着姿になったところで鏡と睨めっこ。よし、むくみもない、脇腹も無事に摘めない。そして体重計に乗ってひと安心してから浴室に入った。無駄に勢いのあるシャワーを顔にぶつけて、口を開き、あばばとする。  実はそんなにゆっくりもしてられないから、さくっと昨日の汚れを洗い流すとそのままタオルで身体を軽く拭いて、裸のままキッチンへと向かった。さっきは三時のオヤツとか言ってみたものの、ほぼ空っぽの冷蔵庫には女子ウケするようなスイーツなんて入ってなかったから、その真ん中に我が物顔で居座っていたツナマヨ缶を取り出し、その場でフタを開け、醤油とマヨネーズを直接かけて空腹を満たした。  全裸のアラサーがツナマヨをそのまま食ってるとか、こんな姿は誰にも見せられないよなとか思いつつ、出かける準備を始める。スマホを確認すると、昨日のインテリ野郎からの勘違いウキウキなメッセージと、担当者からの原稿の進捗を確認するメール、そして淳平の淡白なメールが入っていた。私は淳平だけに昨晩の御礼メッセージをハートマーク五月雨打ちで返信しつつ、タバコ臭にまみれたボアジャケットを洗濯機に突っ込んだ。  ……よし、準備完了。  メイクもほどほどに済ませて、全身鏡で身だしなみを整える。そろそろ美容院に行かないとなあと肩口にかかる髪を摘んでみた。  おっといけない、時間ないんだった。
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