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「嵐を―――呼べ!! 」
耳を穿つ土砂降りの夜。
海を見渡せるほどの高いビルの屋上。
そこから見えるのは、ゆらゆら銀光を放つ黒い海から無数のゴツゴツした鱗に覆われた顔が浮上する光景で。
急激に身がぎゅっと締まるような心の内で叫び出た言葉だった。
俺は普通のごくありふれた、いや碌に女子と話したことない友達はせいぜい3人しかいない勉強も運動もそれほどできない、冴えない高校生だ。
ある日、俺は勇者に選ばれた。
なんでも世界は安定しているようで実は危ういバランスで保たれているそうだ。
その均衡を守る存在が勇者らしい、姿のない声にそう言われた。
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