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プロローグ
君がここを通るのを毎日眺めていた。
ある日の君はおもいっきり走っていたね。またある日の君はぼんやり歩いていた。そして、またある日の君は涙をぽろぽろとこぼしていたね。
何があったのか気になってしまった。
どうしたのかな? ずっと声をかけたかった。だけど……。
君をここで見かけるたびにどうしようもない気持ちになった。
そんなある日君が……。
「学校に行きたくないな」と言った。
その声はとても綺麗で透明感があったけれど寂しげだった。
そんな君の頭上にピンク色の桜の花びらがさらさらと舞い降りた。
「わっ、綺麗。桜の花びら~」
君は顔を上げひらひら舞い降りる桜の花びらを幸せそうに眺めていた。そして、両手で桜の花びらを掬った。
その両手いっぱいに掬った桜の花びらを空に向かってぶわーっと撒いた。
ふわりと舞う桜の花びらがまるで雪のように見えた。そして、彼女のその姿があまりにも綺麗で物語の主人公に見えたのだった。
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