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桜色に滲む涙
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描きたいことはたくさんあるけれど思ったように表現できなくてわたしはさらさらと舞い落ちる桜の花びらを眺めていた。
この世界はとても儚くて美しい。この一瞬を切り取ったような世界を表現したかったのだけど……。
わたしには才能はないのかなと手元に視線を落とす。気がつくと涙がぽたぽたと零れ落ちていた。
あの子の思いはそうわたしの思いなのだ。この先の言葉が見つからなくてどうしたらいいの? 溢れ出す思いを伝えたくてたまらないのに上手に描くことができない。
わたしはノートをベンチに置き立ち上がり桜の木を見上げた。
「ねえ、どうして一瞬の輝きなのにあなたは咲いているの?」
わたしは桜の木に尋ねる。
すると、桜の花びらが風に吹かれてさらさらと舞う。綺麗だなと感じた。
そうだよね。この素直に感じるこの気持ちが大切なんだよね。上手に書くことだけが正解ではないとわたし自身が伝えたい思いだったんだよねと思い出した。
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