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わたしは再びベンチに腰を下ろした。そして、ベンチに置いていたノートを手に取りペンを握った。
君とあなたの物語の続きを描こう。わたしだけにしか表現できない何かがあるはずなのだから。
桜の花びらがわたしに教えてくれた。
少し長めの前髪に桜の花びらをくっつけた前川さんが『呑気が一番だよ。難しく考えることはないんだよ。友達にも桜子ちゃんの素直な気持ちをそのまま伝えると良いかもしれないよ。小説も今感じていることを表現してごらん』と言った。
『うん、そうだね』
桜色の桜の花びらさらさらと舞うベンチでわたしは言葉を紡ぐ。そうわたしの感じた思いを誰かに伝えたくて……。
そして、わたしは水彩用紙に自由に筆を走らせた。桜色の花びらがとても綺麗に描けた。それが嬉しくて涙がぽたぽたと零れ落ちた。
水彩用紙に描いた桜の花びらがわたしの涙で滲んだ。
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