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色白でほっそりした男性がニコニコと笑いながらわたしの顔をじっと見ていた。少し長めの前髪に桜の花びらがくっついている。
「わっ、びっくりしました。あなたは誰ですか?」
「あはは、誰ですかって突然聞くんだね」
男性は驚いた様子で目を丸くしている。
突然肩を叩かれてびっくりしたのはわたしの方なんだけれどと思いながら男性の顔をじっと眺めてしまった。
「僕は、前川夢真です。君は?」
「あ、はい。わたしは桜川桜子です」
「桜子ちゃんか可愛らしい名前だね。それにこの季節にぴったりな名前だね」
男性こと前川さんは桜の木を見上げながら言った。
「ありがとうございます」
わたしはやっぱり名前を褒められて嬉しいような恥ずかしいような複雑な気持ちになった。
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