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「今日は芝生に寝転がらないんですか?」
「そんなに毎日寝転がらないよ。今日はベンチに座りたい気分なのさ」
前川さんはそう言ってわたしの隣に腰を下ろした。
「前川さんてなんだか面白い人ですよね」
「そうかな? 普通だと思うけれどね」
「いやいや普通と違うよ。だって、髪の毛に桜の花びらをくっつけて真顔で話しているんだから」
わたしは、サラサラの髪の毛に桜の花びらをくっつけている前川さんの横顔を眺め思わずクスクスと笑ってしまった。
「あのね桜子ちゃん。人の顔を見て笑うなんて失礼ではないか」
前川さんは唇を尖らせた。
「あはは、ごめんなさい」
「まあいいや、許そう。それはそうと桜子ちゃんは何か悩みがあるのかな?」
そう言って前川さんはわたしの顔をじっと見た。白目が綺麗なその瞳に吸い込まれそうになった。
「……わたし小説を書いているんですけど」
わたしは、ポツリと呟いた。
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