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「小説を書いているのか?」
「はい、そうなんですけれど……」
そう答えわたしは足元に視線を落とす。桜の花びらがピンクの雪のように見えて綺麗だ。
「そうなんですけれど……って桜子ちゃんちょっと暗いね」
「はい、だって、小説を書いていても上手に書けないし……それに学校でも人に合わせるのが苦手でなんだか何もかも上手くいかなくて……別に友達が嫌いなわけではないんですけどね」
「ふーん、そっか。上手に書くことだけが正解じゃないと思うけどね。友達との関係もなかなか難しいよね」
前川さんは髪の毛にくっついている桜の花びらを手で払った。その桜の花びらが宙を舞う。
「あ、桜の花びら払っちゃった~」
「あはは、思わず払ってしまったよ。せっかく春らしかったのにね。って桜子ちゃん話が違う方向に行ってるよ」
前川さんはそう言ってクスクスと笑った。
「あはは、そうですね。上手く書くことだけじゃないんですね。前川さんってば良いことを言うじゃないですか。でも、それってなんだか難しくてよく分からないです」
「うーん、僕もよく分からないけど、例えば桜子ちゃんが学校の友達に対して思っていることなどを素直に書くと良いんじゃないかな?」
そう言った前川さんの目はどこか遠くを見ていた。
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