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「みんな卒業おめでとう。進学する者も就職する者も、家族や友人への感謝の気持ちをいつも忘れずにな」
最後まで視聴率40%以下か。俺なりに一生懸命やってきたつもりだけど、やっぱりそこまで響かなかったんだろう。「教える」って難しいな……。
「ねぇみんな、それでいいの?」
そしてお前の視聴率は最後まで100%だな竜美。イケメン滅べ。
「今日で最後なんだよ? 遠野先生に気持ちを伝えられるの」
あぁもうやめて。こいつらが俺に伝えたいことなんてあるわけないだろ。
「遠野……先生」
「……どうした林」
「……俺バカだから大学なんて行けないって思ってたのに、遠野が……遠野……先生が……」
「もう遠野でいいぞ」
竜美に怒られるのを気にして無理してる感が半端じゃない。
「……遠野が諦めないでくれたから、俺は大学に合格できた。……ありがとう……ございます……」
「馬鹿というのは自分が苦手なことを『できない』と決めつけて、努力をしない人間のことをいう……のだと、先生は思う。だから受験に向けて好きな漫画も我慢して努力してきた林は馬鹿ではない」
「……うぅっ……俺……遠野が担任でよがっだぁ……」
うわ、林が泣いた。何だこれ。卒業式マジック……?
「遠野、オレも……」
「どうした?」
お前は遠野先生って呼べよ西野。
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