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「見た目はこんなだけど、僕も弘と同じ時間を生きてきてるってこと忘れないで」
「……わかってるって」
「弘はもう大人だし、僕も大人」
「……うん」
「だから僕と結婚して? 弘」
なんだか可愛いこと言い出したけど、竜美の顔は真剣そのものだ。
「この前つき合いはじめたばっかなのに?」
「期間は関係ないでしょ」
「……わかった。どこでする? 日本ではできないけど」
「……いいの?」
「いいよ」
「……やった……!」
『お前の笑顔のためなら何だってできる』と言ってやりたいけど、さすがにそれは恥ずかしい。
「意外と泣き虫だよな、お前」
「だって嬉しいんだもん」
つい『よしよし』と頭を撫でそうになった手を、俺は寸前で引っ込めた。またさっきみたいに不機嫌になられたら敵わない。
「でもさすがに結婚式までは我慢できないな」
やっぱりそうきたか。まぁ覚悟ならもうできてる。……でも痛かったらどうしよう。
「いいの? 弘」
さっきまで泣いてたくせに、いきなり押しが強い。やっぱり竜美は竜美だ。
「初めてだから駅弁はやめてくれ」
「そんなことしないよ。今はまだ体格的にもきついしね」
「……そうだよね」
あんなに連呼してたのにいきなり現実的な意見はやめてほしい。なんか俺の方が恥ずかしいじゃないか。……『今はまだ』って何?
「弘……きれい」
「……っ……」
俺のシャツをはだけた竜美が、じっと見下ろしてくる。『そんなに見ないでくれ』なんて言ったところで、たぶん聞いてくれないだろう。
「えらいよ……弘。そのまま僕を見てて」
熱のこもった視線に捉われたまま、胸の尖った部分を舌で転がされる。くすぐったいのか気持ちいいのかわからなくて、なんだか変な感じだ。
もじもじしているうちに、竜美はいつの間にか俺の後ろに何かを塗りつけていた。
「力抜いてね」
「……え?」
「大丈夫。痛くないから」
「……っン?」
「……ね?」
ほんの一瞬だけ唇が重なり、にこりと微笑んだ竜美の指は、いつの間にか俺の中の浅い部分をなぞっていた。
いつ挿れられたのかわからなかった。「寝所の神」というのは伊達じゃないかもしれない……。
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