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「可愛い……弘」  唇を「ちゅっ」と吸われ、上顎を舌で押し上げられる。巧みな舌づかいに翻弄されているうちに、すっかり根元まで埋まった竜美の指が、円を描くように中をかき回していた。 「弘、どんな感じ?」 「……指がっ……はいってる……」 「うん、小学生みたいな感想かわいい」 「っぁ!」 「……ココだね」 「……ッ、やだ……そこっ……」  指の腹で押し上げられた部分がじんじんする。意思に反して甘えるような声が出てしまうのが恥ずかしい。 「弘、見て?」 「……へっ……?」  竜美の指先が「そこ」をトントン叩くたびに、前が小さく震えている。恥ずかしすぎて顔をそらすと、すかさず顎を掴まれた。 「だめだよ。ちゃんと見て?」 「……なんでっ……」 「誰が弘の体をこんな風にしてるの?」 「……っ……たつみ……」 「そう……だから弘が僕のものになるところをちゃんと目に焼きつけて? 最後まで……」 「……っ……」  何故か涙があふれてくる。長いあいだ我慢してきた竜美だけじゃなく、本当は俺自身もずっと、竜美とこうなることを望んでいたのかもしれない……。 「指……二本も入っちゃった」 「……っ」 「今『きゅっ』ってなったね。可愛い」 「……んんっ」 「腰揺れてる。気持ちいいの?」 「……んっ……」  もうだめだ。気持ちいい。竜美の指が気持ちいい……。 「弘……大好き」 「……っぁ、……やだ……たつみっ……」  交互に一箇所を掻いていた指が、中をグッと拡げる。じんと痺れるような感覚はどんどん強くなって、意識をそらそうとするほど竜美の指の動きだけに集中してしまう。  どうしようもなくなって、俺は思わず竜美に抱きついた。 「もっと抱きしめて……弘」 「……っはぁ……」 「……この中でも」 「──ッ」  竜美の指が出ていった直後、熱い塊が入り口を押し拡げた。太股を掴んだ手が熱い。乱れた吐息が耳にかかり、ぶわっと全身が粟立つ。
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