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結
「おはよ、弘」
……ん? なんかいつもと声が違うな。ちょっと深みが増したというか、やたらと低いというか……。
「──ッ」
──ぱちり。目を開けると、見覚えのある顔立ちの「男」と視線が絡んだ。
「びっくりした?」
「……お前っ、……なんで……?」
「弘とセックスしたから霊力が高まったのかも」
「……」
お互い裸で目覚めるという状況だけで死ぬほど恥ずかしいのに、なぜか急に大人になった竜美が目の前にいる。フェロモンがすごすぎて息ができない。
「なんかちょっと大人になった気分」
「……ちょっとじゃないだろ。俺と同い年くらいにみえるけど」
「本当? よかった。だからそんなにドキドキしてくれてるんだね」
残念ながらバレバレらしい。
「色んな僕が見れて幸せだね」
「……うん」
「僕も色んな弘をずっと一番近くで見てきたから、世界一幸せだよ」
「……それはよかった」
「もっと幸せにしてあげるからね」
「……ン……」
これ以上の幸せなんて、俺には想像もつかない。でもこいつとならきっとなれるんだろう……疑う余地もなくそう思える。
「これでやっと駅弁できるね」
どうやら中身の成長は伴っていないらしいが。
「無理。触るな」
「……え? なんで……?」
「……そんな顔したってだめだぞ。あんなわけがわからないこと二度としたくない」
「どうして? 処女なのにちゃんとイけたし潮吹きまでしてたじゃん」
「やめろっ!……とにかく無理。しばらくそっとしといてくれ」
俺は寝返りを打ち、竜美に背を向けた。竜美には悪いけど、昨夜の出来事は完全にキャパオーバー。記憶から抹消させてもらう。
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