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 顔を真っ赤にした竜美は、俺からすっと視線をそらした。……え? 何その反応。 「竜美?」 「……大丈夫だからちょっと待って」 「え?『大丈夫』って何が?」  竜美は深呼吸をはじめた。俺もしといた方がいいのか……? 「何してるの?」 「……えっ? 深呼吸。お前がしてたから」 「……弘が真面目な顔してエロいこと言うから、出そうになったんだよ」 「……は? お前が素直になれって言ったんだろ」 「いきなり素直になりすぎ」 「……」  あんなに勇気を出してがんばったのにダメ出ししてくるとか……もうやだ。 「そっか。『すごく気持ちいい』んだ?」 「……今さらだけどめちゃくちゃ性格悪いなお前」 「弘のたちの悪さには負けるよ」 「……ンっ……」  優しいキスと一緒に、身体が揺れる。ゆっくりと、頭の芯まで甘く痺れていく。  あぁ……竜美が求めていたのはきっとこれだ。一緒に感じていることがわかると、すごく気持ちいい。苦しいほど幸せだ……。 「……たつみっ……好き……」  言葉と涙が同時にあふれた。  竜美が好きだと気づけてよかった。こんなに好きでよかった……。 「うん。僕も……大好き」  今度はちゃんとわかる。竜美と俺がひとつになって、溶けていくのが……。 「愛してるよ……弘」 「……ン……」  気持ちいいのは体だけじゃない。これはきっと魂で繋がる行為だ。  だから俺は竜美のすべてを、竜美はたぶん俺のすべてを感じて、こうしてふたりで泣いて笑っている……。
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