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「はぁ……生まれてきてよかった」
「……うん。生まれてきてくれてありがとう。お前の両親には一生感謝する」
「僕じゃなくて?」
「それはわざわざ言う必要もないだろ」
「言葉にしなきゃ伝わらないよ?」
「ありがとう、優心」
俺もこれから一生をかけて、お前を幸せにしてみせる……なんて言えるくらいの勇気があればいいのに。三十路手前の今の俺よりも、小4の頃の優心の方がよっぽど大人だったのかもしれない。
「こちらこそ。愛してるよ、弘」
「……っ」
小さな唇がふわりと重なり、息が止まった。
反射的にぎゅっと閉じた目蓋を恐るおそる開けると、優心はいつもの姿に戻っていた。
「……はぁ。よかった」
「大人の方じゃなくてごめんね」
「……いや、安心した」
おかしな話だけど、慣れてしまったせいかこの18歳のヴィジュアルが一番しっくりくる。
「でも当たり前のようにちんこを出そうとするのはやめろ」
「どうして? いつもの僕なら弘と何してもいいでしょ?」
「……」
付喪神はどうか知らないが、人間には体力の限界というものがあるのだよ優心君。
「俺を殺す気か?」
「エッチしよ? 弘」
「ねぇ聞いてほんとに」
「エッチしよ?」
言い続ければ願いは叶うとでも思ってるのか? こいつは……。
「俺が元気になったらな」
「元気じゃん。どう見ても」
「いや……」
あれ? そういえばさっきまで指一本動かせなかったのに、俺いま普通に立ってる……?
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