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「お前……俺に何かした?」
「何かって?」
「……いや……」
まさか回復術とか使えるのか? それに『霊力が不安定』とか言ってたけど、ずいぶん都合のいいタイミングでいつもの姿に戻ったような……。
まさか昨日の大人バージョンといいさっきの小4バージョンといい、全部わざとじゃないだろうな……?
「弘、こっち来て?」
けっきょく服を着れないままそろそろとベッドに上がると、すかさず腕を引かれた。あっという間に組み敷かれ、いつにも増して眩しい顔面で見下ろされる。
「弘、触って?」
……困った。どうやら俺は、もうこの付喪神に抗えないらしい。
「……はぁ。幸せ……」
「……触らせといてしみじみ言うな」
「だって弘に触られてるときがいちばん幸せなんだもん」
「どこまでも変態だな」
まぁいいか。明日も明後日も、これから先もずっと、朝起きたらこいつがそばにいる。俺にはそれ以上の幸せなんて思いつかない……。
「愛してるよ、弘」
「……うん、俺も」
俺の愛用抱き枕は、実は銀河系レベルの超絶イケメン付喪神だった。……でもそれだけじゃない。
いきなりT大医学部を目指したかと思えば見事に合格してしまう努力の天才で、中身も宇宙一カッコいい付喪神だ。ちなみに18年前までは、俺の幼馴染みで親友だった。
そして今では、俺の唯一無二の恋人だ。歳下の見た目を利用して甘えてくる優心に絆されまくりの俺が、優心がずっと憧れてきたらしい「駅弁」を許してしまう日は、たぶんもうそう遠くはない。
END
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