7/16
前へ
/50ページ
次へ
「よく考えろ」 「え?」 「……お前を受け入れたとして、そのあとただの抱き枕に戻ったお前を抱き続けることになる俺の気持ちを」 「……やっぱり嫌ではないんだ?」 「勘違いするな。生理的に受けつけざるを得ないだけだ」 「素直じゃないな。そういうところも可愛いけど」 「……っ」  あぁ……やっぱりイケメンって怖い。顎をクイっとされただけなのに、何だろうこのいまだかつてない胸の高鳴り……。 「やっと人間の姿になれたのに、ずっと好きだった人と結ばれないままただの抱き枕に戻ったときの僕の気持ちは考えてくれないの?」 「……」 「胸が張り裂けそうだよ。……でも……そうなるかもしれないってわかってたけど、僕は後悔してない。こうして自分の手でヒロに触れてみて、改めて気づいたことがあるんだ」 「……何?」 「ヒロってすごくエッチな体してる」 「……っ!?……おっ、おまっ……!」  イケメンすぎる顔面に全意識を持っていかれている間に、いつのまにか体が密着していた。なんか硬いのが前に当たってるし、当然のように尻まで揉まれている。 「離れろバカ」 「お尻スベスベだね。それにすごくモチモチしてる」 「……っおい、やめ……」 「もちろん僕が初めてだよね?ヒロのお尻触ったの」 「……やめろって……」 「一緒に浸かってイチャイチャしたかったけど、ヒロの顔まっ赤だしのぼせちゃうといけないから先あがって?」 「……はぁ……誰のせいだと……」 「後でじっくりほぐしてあげるね」 「……は? ほっ……無理。俺そういうのしたこと……」 「知ってるよ。僕のためにとっておいてくれたんだもんね? ありがとう。大好きだよ、ヒロ」  ここで新たな報告。この付喪神は、まったく人の話を聞かない。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

228人が本棚に入れています
本棚に追加