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「一つ確認したいことがある」 「ん?」 「俺が『下』っていうのはもう決定事項?」  なんか俺、棒読みでしか喋れなくなってる。……まぁ仕方ないか。こんな裸のイケメンに見下ろされたら免疫ゼロの俺はひとたまりもないからな。 「そうだね。ヒロは童貞だから」 「……お前は違うのか?」 「仮にも僕は神だから、ヒロの一人や二人メス堕ちさせるくらい朝飯前だよ」 「……俺は一人しかいないはずだけどな」  神にしては言葉の選び方に品がないのは自覚なしか? 「絶対に気持ちよくさせてあげるから安心して?」 「……実は俺よりものすごく歳上だったりする?」 「え? なんで?」 「『神』っていうくらいだからそうなのかなって」 「僕はヒロ専用の抱き枕として生まれてきて、すぐにヒロの元に来たから今ちょうど18歳だよ」 「……へぇ、そう」  抱き枕に年齢を聞いた俺がバカだった。 「でも『専用』ってことはないだろ」 「どうして? 僕はヒロのご両親がヒロだけのためにオーダーメイドで作った抱き枕だから、生まれた瞬間からヒロ専用だよ」 「オーダーメイド……?」  小学生にオーダーメイドの抱き枕を贈るとか変わってるなぁ、俺の両親。 「とにかく僕の体にはご両親から受け継いだヒロへの愛がたくさん詰まってるんだ。だから僕はヒロのことをずっと愛してきたし、ようやく想いが叶ってヒロに触れることもできた。ご両親に感謝しないとね。きっと天国で見守ってくれているよ」 「うん、二人とも生きてるけどな」  なんだかモヤモヤする。だって今の話が本当なら、こいつが俺を好きなのは製造段階でのすり込みってことじゃないか? こいつは自覚してないらしいけど……。
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