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『ボク』の正体
―――意識がぼんやりした中、ド〇カムの『未来予想図Ⅱ』と、『旅立ちの日に』の曲が脳内で再生される。
その2曲は10分ほどで演奏を終え、今度はレ〇オロメンの『3月9日』が脳内にあふれ出る。しかも映像付きで、体育館の中で私が歌っている姿が映しだされる。
ん? あれ、これ歌ったっけな? 確か『旅立ちの日に』だったような気が……
しかし、脳内再生された曲は止まらず、波のように流れ続ける。
もう少しでサビが来る。『3月9日』は、ゆったりとしたAメロ、Bメロから急にキーが上がることが特徴的な歌だ。
私は多少体を身構えながら、サビを待った。
そして、歌詞内の≪瞳を閉じれば≫の部分で、瞳を開けた。
これが夢だと気づくのは遅くなかった。曲も、夢から覚めると同時にぷつんと切れた。中途半端なところで目が覚めて、何だか気持ちが悪かった。じわじわっと現実が襲ってきて、頭もぼーっとする。
窓を見ると暗闇が広がっており、陽もとっくに落ちていた。机の上には鏡と、『3年4組』と書かれたページで開いた卒業アルバムが置かれている。
そこには、私の姿が写っていた。そして隣には……双子の弟が歯をむき出しにして笑っていた。
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