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彩月が口角を上げて白い歯を見せて笑った。
「何それ! 萌ちゃんは相変わらず発想が面白いね。あなたは、そのスーパー天気予報士とやらになって、何がしたいのかな。お天気占いをしたいとか?」
顎を引いて彩月の瞳を真正面に見据えた。四六時中考えた素晴らしい案を伝える時が来た。
「俺はもっと現実的だ。俺の家の洗濯物が多い時は必ず晴天にする!」
彩月がその場に膝から崩れ落ちそうなほど声を上げて笑った。
「あっはは、天気をほぼ活かせてないじゃん!」
「雨が続くと洗濯物がなかなか乾かないから困っていた。どうしようかと嘆いていた時に、妹から耳寄りな情報をもらって実行することにしたんだ」
彩月が答えを探るような視線を向けた。
「もしかして、洗濯物が乾かなくて天気を自由にできたら、とかそういう話を萌ちゃんにした?」
「したよ。困っていたからな」
「だから、こういう話になったんだね。萌ちゃん、すごいね」
意味がわからなかったけど、妹が褒められたようで嬉しかった。
「あいつの良さをわかってくれて、ありがとう」
「うーん、そういう意味ですごいと言ったわけではないけれど」
「どういう意味なんだ?」
「発想が斬新だけど、出発点はそこからなんだって妙に納得してしまって」
彩月は首を傾けて何度も頷いてから、入道雲が煙のように溢れる空を見上げた。
「そういえば、今日久しぶりにとっても晴れているね。洗濯物は?」
「あっ、しまった。伝説のたくわんのことで頭がいっぱいで忘れていた!」
「陽向らしいね。目的が決まると他のことが気にならなくなるところがあるよね」
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