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「ちょうどよかったんだよ。
それに誕生日より前に言ってくれたところも、誠意があるっていうかさ。
プレゼントもらってから別れようって考える人だって、いるわけじゃん?
まぁナツミがそういう人間じゃないってことはわかってるし、おれじゃたいしたものプレゼントできないけどさ」
「そんなことないよ。たいしたものだよ」
わたしはちゃんと覚えてる。
去年のナツミの誕生日、芳賀が平日も土日もバイトを詰め込んで食費を削って、そうやって必死にお金を貯めて、どこかのブランドのネックレスをプレゼントしたことを。
ふらふらよぼよぼ。
ぶっ倒れそうになっていた芳賀。
芳賀本人であっても、たいしたものじゃない、なんて言わせない。
芳賀の努力をなかったことにはさせない。
「せっちゃん。おれ、たぶんせっちゃんが思うより元気だよ」
「元気って……」
どうして強がるのだろう。
わたしの前でかっこつける必要なんてないのに。
泣いてくれて構わないのに。
むしろ泣いて欲しいくらいなのに。
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