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不穏の影
ちょっとキレちゃった。ポカンとしたフェリックスを奪い返して、フランチェスカはどピンクな母親と向かい合っていた。
やっぱりフェリックスは奪われた。
フェリックス・エルネストは、ポカンとした顔で、自分を奪い合う2対の巨乳を見上げていた。
クンクンした鼻が、母親の乳臭を嗅ぎ取った。
不毛な母娘喧嘩は、息子のあうーで一時停戦となった。
真面目な話、フェリックスに授乳している娘のおっぱいを見つめながら、どうして出ないのかしら?と、自分のおっぱいを触ってみた。
「ねえお母さん。もう1人作れば?彼だってお兄ちゃんになったし。40過ぎたってまだ」
「お父さん全然駄目なのよ。あ!ジョナ様の赤ちゃんなら!」
私のお母さんは、私の目の前でうちの夫との赤ちゃんの誕生を望んでいた。
「そんなのある訳ないでしょうボケええええええええええええ!」
あ、フェリックスが目をパチクリさせてた。
「じ、冗談よ?まあたまにはカッコいい男性と火遊びしちゃうって妄想がね?」
ホントに斬るわよお母さんじゃなきゃ。
彼は私んだってだから。誰にも渡さないもの。
ユノにも、エメルダにも、イゾルテにマリルカだって。
勿論、アリエールにだって。
ああごめんなさい!噎せちゃったのね?フェリックス。ちょっと猖獗したから、量が、ちょっと増えちゃって。
手近なハンカチで、我が子の口を拭って、私はお母さんに聞いた。
「ねえ、お父さんと元陛下から、エマニュエルさん?について聞いてこいってーーお母さん?」
恐ろしい殺気に満ちていた。
「今度は、何をしたの?エムは?お父さん?元陛下?ああ、カッコいい年下の子にしか興味がないのよね?ってことは、もしやジョナ様と?ちょっと行ってくるわね?」
ツカツカと、部屋の壁にかけられた剣を取って出ていこうとした。
「ちょっと!子供部屋でしょ?!」
「フェリきゅんの最後の砦がバーバですもの。孫を娘に預けてエムをぬったあんと」
要するに、この母親はどこまでも似ていた。
「少なくとも、エマニュエルさんは何もやってないわ」
「じゃあ誰を斬ればいいの?アリエールさん?」
スイッチ入ったら人の言うこと聞かないのもソックリだったという。
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