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精神系魔法
きいいいいいいいいいいいいいいいい!!おんどりゃあああああああああ!!
タチアナ・アラミス・ルバリエの横薙ぎの必殺剣が、ジークフリード・ルバリエと激しく激突した。
「お前何エムのビッチに踊らされとんがああああああああああああああああああ!!うだらああああああああああああああ!!!」
「うぎ!ちょ、ちょっと待てターニャ!ターニャん!」
昔からよくあった。30尺の癇癪玉と呼ばれていた、アラミス女生徒殿は、訳の解らないキレ方をして、キレるとこんな風に訛るのだった。
付き合っていた頃からよくそんな風に怒鳴られた。基本的にエマニュエル・デュバリーに関する時に。
「私は!父は父として!娘を離婚に追い込んだ不出来な義理のクソ義息を斬って捨てようと!」
「それがいかんのじゃい!ジョナ様はカッコいい救星の英雄で!あのフランチェスカをメロメロにした男じゃろが!あの超絶テク知っとるのけええ?!めっちゃクンペロしてくんじゃろう?!ついうっかり酔って義理の母親のベッドに入ってくる夢くらい見てもいいじゃろがい!!ジョナ様が近くにいるだけで、あんたと元陛下の士官学校寮で初エッチした記憶とか!結婚初夜の濃密なエッチの記憶が何回も何回もリフレインしてきて!私だってまだまだ現役よ!うっかりフランチェスカの弟か妹妊娠したってしょうがないじゃろがいいいいいいいいいいいい!!!」
「何を言ってるんだターニャんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん!!んん?!待てターニャ!記憶?!ああああああああ?!待てと言うのに!匂いが喚起する記憶で敵を幻惑する、パルファン・NO5だ!数百種類のマジックパルファンの香りを用いた精神系魔法を駆使する!恐るべき魔法使いに覚えはないか?!持続性を持たせる為に、首の後ろか手首に付けられている!匂いは常にお前の記憶を喚起し!思うがままに操ってあばああああああああああああああああああああ!!」
ぶち込まれた一撃を受けて、ジークフリードは昔のようにぶっ飛んだ。
「た、ターニャ!お前は操られている!」
夫は瓦礫に埋もれて沈黙した。
「何がああああああああああああ?エムうううううううううううまたか。またかおのれは。ああきさああああああああああん!!」
けったいな訛りで劇場を睨み付け、騒ぎで逃げ出そうとした人海が、波のように腰を抜かした。
劇場全域に殺気をぶつける、タチアナの無差別探索法だった。
「いねえが?いねえだなまあいい。纏めて死に腐れええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!」
タチアナの必殺技というのはあって、力任せに投げつけた剣は大きく回転し、情け容赦なく強化された剣が、劇場を縦に切り裂いた。
大規模破壊魔法。チャクラム・レイジ。
回転しながら戻ってきた剣をキャッチし、投げた。
「最悪死体出てくりゃあいいっぺよおおおう!おらああああああああああああ!!」
要するに、蛮人ママのママも蛮人だった。
カエルみたいに地面にへばりついた観客や歌姫達、古株の歌姫などは、ああ懐かしいわねえ。よくあったのよ?劇場が倒壊するのは初めてだけどね?と思っていた。
哀れ、劇場が瓦礫と化そうとした時、ガッタガッタに震えたエマニュエル・デュバリー・リトバールが、両手を上げて投降のサインを示した。
「ターニャ!私達友達でしょう?この劇場は、古くはタレイア妃が建てた歴史ある建造物よ?もう壊しちゃ駄目!山にお帰り!ターニャ!」
まあ問題なかった。既にこの劇場が、ミラージュが中で銃撃戦やっていて、内装は滅茶苦茶になっていた。
そしてーー。
「お父さんー魔王が来たよー後ろからー」
「や、やめ!やめてええええええええええ!やめてって言ってるでしょおおおおおおう!」
麗しきエマニュエルは、歌いながらマウント取られてボコボコに殴られていた。
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