娘の思いと父の夢

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 娘は中学生になった。    バドミントン部に入り、大事な日曜日も家にいないようになった。  修吾は改めて、未来の計画を練り直した。  娘が恋人を作るのはいつだろう。亡き妻に似て、顔立ちが良く、不出来な自分と違って()(あたま)も良い。望む通りの高校に進み、望む通りの大学へ行くだろう。将来どんな職業に就きたいのかは分からないが、夢に向かって進んでいると思える。そうなると、恋人や友人次第で雲行きが変わる。できたら良い男と出会ってほしいが、こればかりはこちらの計画通りにはいかない。良きも悪きも、人を引き寄せる運と言うものは、日頃の行いにかかっている。つらい思いをしなければいいが、特に男女の関係は難しい。  娘は、反抗期らしい反抗期もなく、修吾にとても優しかった。まるで亡き妻の代わりを演じるかのように、細かいところまで気遣ってくれた。  三年後、娘は高校に進み、そこでもバドミントンを続けた。県大会で三位に入る活躍を見せ、いくつかの大会でもらった賞状が部屋に飾られた。  高校時代も、娘に恋人はできなかった。いや、あるいはいたのかも知れないが、修吾に紹介するようなことは一度もなかった。  大学受験の際には、精いっぱい勉強を教えた。とは言え、優秀な子だったので、呑み込みが早く、全国模試においても、娘は上位に食い込んでいた。
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