娘の思いと父の夢

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 想像していた通り、娘は第一志望の大学に入った。しかも教育学部である。 『パパと同じく、先生になりたいんだ』  そう言われたとき、修吾は今までの自分を認められたようで、涙が抑えきれなかった。そこに娘から、さらにうれしい言葉がかけられた。 『パパみたいな、みんなに愛される先生になりたい。いつでも同窓会に呼んでもらえるような、あったかい先生に私はなるよ』  その頃、確かにいくつも同窓会が開かれ、修吾は招かれていた。かつては無責任だと言われた自分が、こんなにも生徒たちに慕われていたのかと、感動の波に呑まれている毎日であった。  そろそろ計画に、一つのスパイスを付け加えてもいいんじゃないか。  修吾は何となく、娘の結婚が間近にあるような気がしていた。  ある春の日、娘と二人で桜並木を歩いていたときに、その思いを告げてみた。 『おまえが結婚するとなったとき、俺もちょっとした卒業をしようと思う。生活の何かが変わるとか、そういうことじゃないんだ。でも、俺には夢がある。あくまでも自分のために、夢を叶えたいって思ってる』  娘はきらきらとした表情(かお)で、頭上の桜を仰いだ。 『パパの夢かあ。何だろうね。きっと、すごくいいことだろうね』  詮索しない優しさがうれしかった。もしかしたら、娘自身も何らかの予感があったのかも知れない。  その日からしばらく経って、『カレシができた』と言われた。話のついでに、過去の交際歴を訊ねてみると、どうやらそのカレシが初めての男らしかった。
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