第二ボタン

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 俺は玄関に行き、ドアを開けた。  そこには二人のいかつい体をした男たちが立っていた。  痩せて日焼けした男と、背の高いがっちりした体格の男だ。  背の高いほうが、俺に黒い手帳を示しながらいった。 「我々は警察のものです。ちょっと君に話があるんだが。いいかね?」 「俺に?」 「実は今、我々はある事件を捜査中でね」 「はあ……」 「昨日、ここから二キロほど離れた住宅街のある一軒家で強盗殺人事件が起こったんだよ。一人暮らしの老人が殺され、大金が奪われたんだ」 「その事件と俺にどんな関係が?」 「実は殺害現場のお宅にこれが落ちていてね」  痩せた男がビニール袋に入った何かを見せた。  中に入っていたのは引きちぎった糸がついたままの学生服のボタンだった。 「このボタンを被害者が右手に握っていてね。これは君の通っていた高校の男子用の学生服に使われているボタンだそうだ。そして昨日の深夜、警察に匿名の通報があったんだよ。その強盗殺人事件の犯人が君だという……ね」 「そんな……」
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