13.永遠の誓いを

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一面真っ白な世界に色とりどりの花々が咲き誇る。 今日この日のために誂えた真っ白なタキシードを身に纏って僕は胸いっぱいに息を吸い込んだ。 「良くお似合いです」 「ありがとうラナ、シシィもユンナも本当にありがとうね」 控え室で着付けをしてくれた皆にお礼を言うと、皆が笑顔を返してくれた。 アデルバード様と結婚の約束をした日から数ヶ月経った今日。 僕達は歴代の皇帝陛下と皇后陛下も使っていた教会で婚礼の儀式をあげることになった。 「陛下がお待ちです」 「ルート様、今行きます」 「リュカ様」 慌てて部屋を出ると、ルート様に呼び止められて僕は立ち止まると振り返ってどうしました?って首を傾げた。 「随分と立派になられましたね」 「……へへ、ありがとうございます」 嬉しくてはにかむと、ルート様も珍しく口角を微かに上げて笑顔を見せてくれた。 僕はそれに胸がポカポカになる感覚を味わいながら、ルート様にお辞儀をして会場まで急いだ。 「リュカ」 「アデルバード様っ、素敵です」 「リュカもとてもよく似合っているよ」 会場の入口でアデルバード様と合流すると、真っ白な軍服を着た彼を見て感嘆の声を上げてしまった。アデルバード様の洗練された美しさを衣装がより一層引き立てていて、思わず見惚れてしまう。 「リュカ、これを君に」 「これって……」 アデルバード様が見覚えのあるブローチを手渡してくれて、それを受け取ると僕は嬉しくなって微かに笑みを漏らした。 「失くしたと思ってました」 「ルートヴィッヒの部下が見つけたそうだ。ただ、石が割れてしまってね、代わりに別の物を嵌め込んだのだけれど気に入ってくれたかい?」 アデルバード様の言葉を聞いて、僕はじっと嵌め込まれた石を見つめる。 アデルバード様と同じ瞳の色をしたそれは、陽の光を取り込んでキラリと輝いている。とても力強くて美しいそれをそっと撫でて、ありがとうございますって伝えると、アデルバード様がブローチを僕から受け取って胸の真ん中に付けてくれた。 まるでアデルバード様が寄り添ってくれているようで胸がポカポカする。 「行こうか」 「はいっ」 入場の時間になって、僕はアデルバード様の腕にそっと手を添えて微笑んだ。 彼の甘やかな香りが僕を包み込んで、その匂いを感じて少しだけ感じていた緊張が緩む。 扉が開いて、僕達は同時に1歩会場へと足を踏み出した。 「愛してます」 周りにバレないように小さく呟くと、アデルバード様の香りが少しだけ濃ゆくなった気がして、それが彼からの返事のように思えた。 壇上に経つ神父様の元へと向かいながら、客席で僕達に拍手を送ってくれる皆のことを視界に入れていく。 今日のために予定を開けて駆けつけてくれたお義父さまと義母さま、涙を流しながら沢山拍手を送ってくれるエレノア。端っこの方で僕たちの様子を見つめているラナやシシィ、ユンナ、それからラセットさん。 相変わらずの真顔で、それでも嬉しそうにしているルート様。 心の中で皆にありがとうってお礼を言いながら、僕とアデルバード様は遂に神父様の元へと辿り着いた。 神父様のお話を聞きながら、僕はこれから先彼と共に歩んでいくのだと心に刻み込む。 アデルバード様に護られるだけじゃなくて、これこらは僕も彼の支えになっていきたい。皆を守れる素敵な皇后になりたい。 「リュカ=エーデルシュタイン。貴方は月のように慈悲深く、聡明に、太陽に寄り添い、病める時も健やかなる時も、その命尽きる限りかの者を愛し抜くことを誓いますか」 神父様の言葉に僕は迷わずに口を開いた。 「誓います」 何があっても、ずっとずっとアデルバード様を愛し抜くよ。 だから、今ここで貴方に永遠の誓いを送ります。
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