雨の日は少し憂欝

10

「碧さんの前では好青年ぶってたけど、頭の中では何度も想像してたよ。碧さんとこうすること――」
　熱に浮かされたように呟きながら、腰を淫猥に動かす。硬く張り詰めたもので脚の狭間を嬲られて、安曇は足先でシーツを掻いた。
　ジーンズの硬い感触が、敏感な場所を何度も行き来する。挿入した時のように奥を突かれて、ガクガクと腰が戦慄いた。
「いやだ、それ……」
「痛い？　それとももうイキそう？」
　腰をグラインドさせながら、須永が下着越しに安曇の中心に触れた。形を確かめるように手のひらで緩く扱き、先端の丸みを撫でる。弄られているのは下肢だけなのに、シャツの下で胸の尖りが熱を持ってじんじんと疼いた。
「ん……、はあ……っ」
（胸の先がちりちりする……触ったら楽になれるのに……）
　胸の尖りを捩じり上げたい衝動を、ぐっとこらえる。シャツの合わせを握りしめて耐えていると、頭上の須永がフッと息を漏らした。
「直接触ってほしいならそう言えばいいのに。恥じらいながら快感に耐えてるのも最高にかわいいけどね」
「か、かわいいって」
「シャツは自分で脱げる？　俺も脱ぐから」
「それくらい自分でできるに決まってるだろ」
　安曇は体を起こし、ボタンを外してシャツを脱いだ。日に焼けていない肌の上で、濃く色づいた二つの粒が存在を主張している。おまけに下着は濡れて色を変えていた。
　安曇は素早く下着を脱ぎ、膝を抱いて丸くなる。すると服を脱いでいた須永が、呆けたような顔でこちらを見ていた。
「……何見てるんだよ。君も早く脱いだら？」
「俺だってそうしたいけど、碧さんが邪魔してるんだろ。これ以上俺を誘惑しないでよ」
　須永が天を仰ぎ、ガリガリと頭を掻く。性急な仕草で服と下着を脱ぎ去ると、それらをまとめてベッドの下に放り投げた。
「こら、服がしわに――」
　言いきるより先に、嚙みつくみたいに口づけられた。舌を搦め捕られ、舌先を強く吸われると、酒を飲み過ぎたときのように頭がぼうっとしてくる。
（いい歳してキスくらいでこんなになるなんて、一体どうなってるんだよ）
「碧さん、体見せて？」
　荒い息を吐きながら、須永が安曇の両膝に手をかける。そのままゆっくりと割り開かれて、安曇は思わず顔を逸らした。
　脚の間では細身の竿が起ち上がり、ゆらゆらと揺れている。先端からは蜜が滴り、薄い下生えをしっとりと濡らしていた。
　女性の体を見慣れた須永が、自分の体を見てどう思うのだろう。やっぱり無理だなんて言われたら、きっと立ち直れない。
　安曇は息を詰め、ぎゅっと固く目を瞑った。
「すごいな……碧さんって、こんなところもきれいなんだ」
　うっとりと呟いて、安曇の中心を育てるようにやわやわと握る。不意に瞼の上に柔らかなものが触れ、安曇はそっと目を開けた。