『ミサキ』って誰?

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* 「あの……」 「……んぁ?……あぁ、おはよ」  やばい。爆睡してしまった……。 「おはようございます……」  めちゃくちゃ目泳いでんな。何も覚えてねーんだろうな……。 「大丈夫。ちゃんとセックスしたから」 「えっ……」 「俺も酔ってたし経緯は覚えてないけど、気づいたら突っ込まれてたわ」 「……」 「あーいいよ、気にすんな。気持ちよかったし。互いに記憶もないわけだし、後腐れなくバイバイしようじゃん」  マジでイケメンが過ぎる。これでゲイだったら迷わず交際を申し込むんだけどな……。 「あの、お詫びに食事でもいかがですか?」  なんだマジメか? 可愛いな。 「あのさ」 「はい」 「お気持ちは嬉しいけど、俺ゲイだから」 「……え?」 「つまり恋愛対象が男だから、期待させるようなこと言わないで」 「……期待って……じゃあ僕も男が好きだって言ったら、食事に付き合ってくれるんですか?」  なに言ってるんだろうこの子。可愛すぎない? 「いやいや、どう見てもノンケじゃんキミ」 「……」 「じゃあね。ミサキちゃんによろしく」 「あっ、待っ……」  ダメだダメだ……待つな俺。だってあんなイケメンに……しかも性格も素直そうな年下のノンケ君にさらっとデートなんて誘われてついて行ったら、確実に好きになっちゃうし。  ノンケとの間にラブが生まれないのはすでに立証済み。二の足は踏まん。 「待ってください!」  追いかけてきた。……感情的になるな。ここは冷静に大人の対応だ。 「どした?」 「お名前を教えてください」 「後腐れなくって言ったろ」 「僕は大谷川冬馬(おおやがわとうま)です」 「……小富島夏樹(ことみしまなつき)」  名乗るなよ俺。……でもこんなピュアな眼差しを向けられて無視できるほど、俺の心は荒んでない。 「ナツキさん、僕と付き合ってください」  あー、えー?……何これ? とりあえず思考停止。 「無理ですごめんなさいさようなら」  イケメンのナマ告白怖えー。思わず棒読みかましちまった。……さすがに追ってこないか。フったし。 ……えっ? なんでフったの俺。あいつがゲイである可能性だって…………いやないな。もはや雰囲気でわかってしまう自分が悲しい。  つまりこれが正解。ノンケと付き合ったって、ボロボロになって捨てられるのがオチだからな……。
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