星の子の夢

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* 「んん……!」  肉うんまぁ……!  天才シェフかこいつ。もう結婚しよう。 「いかがですか?」 「美味すぎてコメントできない」 「ふふ、よかったです」 「他にも何か作れんの?」 「いいえ。今のところ肉しか焼けません」 「……あ、そうなんだ……」  本当に俺に肉を食わせるためだけに料理をはじめたんだな……。 「お前ならきっとなれるよ……肉ソムリエ」 「はい、絶対なります」 「……あ、でもお前T大生じゃん。進路とか決まってたんじゃないの?」 「はい。医学を学んでいるので将来は医師になる予定でしたが、肉ソムリエになると決めたので大学はもうやめます」 「おいおいおいおい待て待て待て。やめろ。肉ソムリエはなし。是非とも医者になってくれ」 「どうしてですか?」 「……どうしてって……お前は血のにじむような努力をしてT大医学部に入ったんだろ? 簡単にやめるなんて言うなよ」 「とくに努力をした記憶はありませんが、確かに大学生活は人と関わる場面が多くて苦痛だったので、簡単にやめるのはよくないですね。今まで我慢してきたことが無駄になる」 「……うん、そうだよ……」  天は二物も三物も与える……。 「独学は得意なので、大学に通いながらでも問題ないかもしれません」 「うん。ないない。お前ならできる」 「はい、がんばります!」  笑顔が眩しい。俺も早く次の仕事探さなきゃな……。 「大学でも相当モテるだろ? お前」 「はい」  うん、仕方ない。だって子供は正直だから。 「浮気は俺にバレないようにしてくれ……」 「浮気なんてしません」 「……ごめん。お前がイケメンすぎて卑屈おじさんになってたわ」 「夏樹さんはおじさんじゃありません」 「……まだお兄さん?」 「永遠に僕のハニーです」 「うん……?」  いきなりどうした? 笑顔が目に刺さって痛い。 「最初は誘われるがままにベッドインしていましたが、虚しくなったのでとっくにやめました」 「あぁ、わかる」 「……え?」 「……いや、何でもない」  顔怖っ。 「僕を満たせるのは夏樹さんだけです」 「あぁそう……?」 「肉にも嫉妬するくらい好きです」 「……うん、ありがと」 「夏樹さんがゲイでよかった」 「え? なんて?」 「だって女性は夏樹さんの子供が産めるから……夏樹さんが女性も好きになれるとしたら、僕はそれだけで嫉妬してしまいます」  おいおい墓穴掘ってるぞ。気づいてないっぽいけど……。 「その言葉……そっくりそのままお前に返すよ」 「えっ?」 「お前は元々ノンケだろ」  あーいかんいかん。また卑屈おじさんが発動しちゃってる……。
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