バックはまだ無理

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バックはまだ無理

「ほぉ……」  風呂が広い。……高級ラブホの風呂よりもちょっと広い。 「夏樹さん、僕に体を洗わせてくれませんか?」 「やらしい意味で?」 「いいえ。本気でです」  体を洗うのに「本気」って何? 怖い。  でもそれより何より濡れた冬馬がヤバい。さんざん笑ったおかげでもう笑いは起きないけど、逆に平常心で見てしまったことで破壊力が増してる。 「夏樹さんに触りたいからというのもあります」  なんだ正直か。可愛いな。 「いいよ」 「やった!……いつもどこから洗いますか?」 「髪」 「了解です!」  なんか……いいのかな? こんなに幸せで。……実はぜんぶ夢だったとかないよね? 「夏樹さんの髪って、明るい色なのに痛んでなくて綺麗ですよね」 「いや、痛んでると思うよ……それなりに。もう十年この色だから将来ハゲるかも」 「本当ですか? ハゲた夏樹さんも可愛いんでしょうね」 「いやぁ、可愛くはないと思うけどねぇ……」  シャンプー気持ちいいぃぃ……。  手先が器用っていうのは本当なんだな。これなら美容師もいけるんじゃないか……? 「お前ってほんとすごいなぁ。なんでもできるしイケメンだし、ほんとに俺なんかが彼氏でいいの?」 「夏樹さんがいいです」 「……あぁそう? ありがと」  ごめん言わせた。したたかおじさんが発動中らしい。 「……ふぁ……気持ちー……」 「……そんな声出さないでください」 「……んぇ?」  なんか背中に当たってるんだけど。でっかくて硬ったいのが。 「お前こそサイズがえぐいよ」 「……すみません」 「さっきフェラしたときも思ったんだけどさ……マジでそんなのが入ってたの? 俺の中に」 「……煽ってますか?」 「バレた?」  はぁもう無理。だいたい我慢するのは苦手なんだよ俺は……。 「……ンっ……」  キスが気持ちいい。なんだか冬馬にされることがぜんぶ気持ちいい。どうしちゃったんだ俺……。 「それ以上煽らないでください」 「ゾーンに入っちゃう?」 「それは……気をつけます」 「……そっかぁ。見てみたいけどね」 「……え?」 「マジメな冬馬クンがゾーンに入るとどうなっちゃうのか……すっごい気になる」  さすがに煽りすぎか? でもこれから長く付き合っていくことを考えると、こいつの振り幅も知っておく必要があるよな……とか言いつつ、ただのエロ心だけど。 「お湯につかりましょう」 「……うん」  逆に冷静になったか……? 「……っぁ、待って」 「何ですか?」 「……耳はっ……やめてほしい……」  背中がゾワゾワする。もしかして俺って耳が弱いの? 十年もAV男優やってて気づかないとかヤバいな俺……。 「夏樹さんの耳ってエロいですよね」 「……っ……お前そればっか……」 「だってエロくないところが見つからないんです……ここに刺さってるピアスになりたい」 「んァっ……!」  まーたヤバいこと言ってんな。残念ながらもうツッコミは入れられそうにないけど……。
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