バックはまだ無理

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「……っぁ……」  何これ……体が勝手にビクビクする。なんかネコみたいだな。…………あぁ、今はもうネコなのか俺。今さらだけどショックがでかいな……。 「……ッ……冬馬っ」 「何ですか?」 「……頼むから……ちょっと休憩させろ……」 「どうしてですか? すごく気持ちよさそうなのに」 「慣れねぇんだよ、こういうの……される側の経験ないから」 「……あぁ」 『あぁ』じゃねぇよ。こっちはどれだけ大変なことになってると思ってんだ……。 「そっち向いていい?」 「……ちょっと考えさせてください」 「……は? なんで?」  即答しないなんて珍しいな。そして当たり前のように冬馬の巨根にケツで跨っちゃってるけど、そもそも跨れるほどの巨根ってヤバいよな……。 「やっぱりだめです」 「……なんで?」 「……」 「おい、何か言え」 「……夏樹さんの顔がだめです」 「……は? 彼氏に向かってそれはないぞお前」 「……違います。良い方の……だめって意味で……」  なんかまたわけわからんこと言い出した。ほんとにT大生かこいつ……。 「もう知らん。俺の好きにする」 「……っ」  振り返ると、顔を真っ赤にした冬馬と目が合った。 「……え……なんでいま照れる?」 「……だって……濡れてる夏樹さん可愛い……」 「……あんま嬉しくねぇ」 「でも事実です」 「たたみかけんな」  いいかげん覚悟を決めるしかなさそうだ。いくらカッコつけても、冬馬には俺が可愛くしか見えないらしいからな……。 「お前だけだからな……抱かれてやるの」 「……はい」 「……まぁもう抱くこともないだろうけど」 「夏樹さんこそ、十年も続けた仕事を簡単に辞めてしまっていいんですか?」 「……簡単にじゃない。俺なりにちゃんと考えた。……謙人にはやめとけとか言われそうだけど」 「……」 「そんな顔すんな。謙人のことはちゃんと説得する。お前と一緒にいることにも納得してもらう」 「謙人さんって……なんだか夏樹さんの母親みたいですよね」 「わかる? まぁ実際そうだからな」  いつか親孝行してやるからな、謙人。 「お前……なんか眠そう」 「眠くないです」 「きのう寝てないんだろ? 無理すんな。……でもここでは寝るなよ? 重くて運べないから」 「眠くないです」  子供みたいにわかりやすいけど、眠そうな顔もエロいというギャップがたまらない。 「……んっ……」  唇と舌が熱い。触れている肌も……全身が熱くて溶け出しそうだ。  あぁ……セックスしたい。でも眠そうで可愛い冬馬を早く寝かせてやりたい。安心させてやりたい……。 「ベッド行く?」 「……眠くないです」 「わかってるよ」  髪を撫でてやると、冬馬は気持ち良さそうに目を細めた。……さようなら性欲。俺は今から悟りに入る。  冬馬を寝かしつけることに成功した。  ベッドに入ってすぐ襲ってきたけど、愛撫に耐えつつ頭をナデナデしてたら落ちた。 ……寝顔が可愛い。「ムラッ」を我慢した辛さも一瞬で吹き飛ぶ可愛さだ。昨日は一睡もしてないんだろうし、たぶん朝まで起きないな……。    謙人への報告は明日でいいか。……というわけで、俺も寝る。
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