513人が本棚に入れています
本棚に追加
「……っぁ……」
何これ……体が勝手にビクビクする。なんかネコみたいだな。…………あぁ、今はもうネコなのか俺。今さらだけどショックがでかいな……。
「……ッ……冬馬っ」
「何ですか?」
「……頼むから……ちょっと休憩させろ……」
「どうしてですか? すごく気持ちよさそうなのに」
「慣れねぇんだよ、こういうの……される側の経験ないから」
「……あぁ」
『あぁ』じゃねぇよ。こっちはどれだけ大変なことになってると思ってんだ……。
「そっち向いていい?」
「……ちょっと考えさせてください」
「……は? なんで?」
即答しないなんて珍しいな。そして当たり前のように冬馬の巨根にケツで跨っちゃってるけど、そもそも跨れるほどの巨根ってヤバいよな……。
「やっぱりだめです」
「……なんで?」
「……」
「おい、何か言え」
「……夏樹さんの顔がだめです」
「……は? 彼氏に向かってそれはないぞお前」
「……違います。良い方の……だめって意味で……」
なんかまたわけわからんこと言い出した。ほんとにT大生かこいつ……。
「もう知らん。俺の好きにする」
「……っ」
振り返ると、顔を真っ赤にした冬馬と目が合った。
「……え……なんでいま照れる?」
「……だって……濡れてる夏樹さん可愛い……」
「……あんま嬉しくねぇ」
「でも事実です」
「たたみかけんな」
いいかげん覚悟を決めるしかなさそうだ。いくらカッコつけても、冬馬には俺が可愛くしか見えないらしいからな……。
「お前だけだからな……抱かれてやるの」
「……はい」
「……まぁもう抱くこともないだろうけど」
「夏樹さんこそ、十年も続けた仕事を簡単に辞めてしまっていいんですか?」
「……簡単にじゃない。俺なりにちゃんと考えた。……謙人にはやめとけとか言われそうだけど」
「……」
「そんな顔すんな。謙人のことはちゃんと説得する。お前と一緒にいることにも納得してもらう」
「謙人さんって……なんだか夏樹さんの母親みたいですよね」
「わかる? まぁ実際そうだからな」
いつか親孝行してやるからな、謙人。
「お前……なんか眠そう」
「眠くないです」
「きのう寝てないんだろ? 無理すんな。……でもここでは寝るなよ? 重くて運べないから」
「眠くないです」
子供みたいにわかりやすいけど、眠そうな顔もエロいというギャップがたまらない。
「……んっ……」
唇と舌が熱い。触れている肌も……全身が熱くて溶け出しそうだ。
あぁ……セックスしたい。でも眠そうで可愛い冬馬を早く寝かせてやりたい。安心させてやりたい……。
「ベッド行く?」
「……眠くないです」
「わかってるよ」
髪を撫でてやると、冬馬は気持ち良さそうに目を細めた。……さようなら性欲。俺は今から悟りに入る。
冬馬を寝かしつけることに成功した。
ベッドに入ってすぐ襲ってきたけど、愛撫に耐えつつ頭をナデナデしてたら落ちた。
……寝顔が可愛い。「ムラッ」を我慢した辛さも一瞬で吹き飛ぶ可愛さだ。昨日は一睡もしてないんだろうし、たぶん朝まで起きないな……。
謙人への報告は明日でいいか。……というわけで、俺も寝る。
最初のコメントを投稿しよう!