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「失礼します」
「ん? ふたり揃ってどうした?」
「……あの、社長……」
「ん? 三人か。誰だそいつ。新人?」
「……え?」
「……はぁ。マジかよ……」
もう。もうもうもうもう……!
「なんでいんの? 冬馬」
「夏樹さんが心配で……」
「『絶対ついてくるな』って言ったよな?」
「僕は夏樹さんについてきたわけではなく、お母さんに……」
「お母さん?……親も来てんのか夏樹」
「マジで今すぐ出ていけクソガキ」
「ひどいです……お母さん」
うぅ……カオス。せっかく覚悟を決めてきたのに、さっそく心が折れた……。
「あぁー、めんどくせぇ! 社長、夏樹が辞めたいんだと。俺は付き添いで来た。そこのデカいのは夏樹の彼氏だ」
「何ぃ? 辞めるぅ? 彼氏ぃ? 聞いてないよぉ」
「だからいま言ったろ」
「えぇ……オレに相談もナシに? ひどくない? 何年の付き合いだと思ってんのよ……」
「……すみません社長…」
「謝んじゃねぇ夏樹。そんな弱気じゃつけ込まれんぞ」
「聞こえてるよぉ謙人」
「聞こえるように言ってんだよ。……夏樹を引き止めんな。俺がそのぶん働く」
「男前がすぎるよ謙人ぉ」
わかる。マジカッコいいわ謙人。さすがは俺の母ちゃん。
「ありがと謙人。でも俺ちゃんと言う。……引き止めたら殴んぞ社長」
「ひえぇ……怖わぁ。いつからそんな不良になっちゃったの夏樹ちゅわぁんん」
「キモ。無理」
「ひぃん!……あ、わかった。そこのイケメン君の影響でしょ?……ちょっとこっち来な、あんちゃん」
『あんちゃん』って。見た目がヤーさんなだけにガラ悪すぎる……。
「何ですか? おじさん」
「おおおおおおじ……何だって? 聞こえなぁい。……ねぇ何こいつ?」
「あんま関わんねぇ方がいいぞ。イライラすっから」
「十年も夏樹さんのお尻を狙っていたところ申し訳ないのですが、夏樹さんのお尻は今後一生僕のものです。ご愁傷様です」
「ぅおいコラクソガキィ! 表出ろワレェ!!」
「ほらみろ。落ち着けオッサン。血圧あがんぞ」
「キイイィィィ!」
「おじさんではなく妖怪でしょうか……?」
「キイイィエエエェェェ!!」
「もうしゃべんな冬馬」
マジでこいつがいたら話にならねぇ……。
「行くぞガキ。あとは自分で何とかしろ、夏樹」
「うん。ほんとありがとね謙人」
「おう。ほらさっさと来い……冬馬」
「はい、お母さん」
「……ッ、殴りてぇ……」
うわぁ……血管浮き出てる。リアル怒りマークはじめて見た。血圧あがったらごめんね謙人……。
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