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「あの時は言えなかったんですけど……」
「ん?」
「実は……夏樹さんがゲイだということは最初から知ってました」
「……えっ?」
「夏樹さんは酔ってて覚えてないと思うんですけど……」
「ちょっと待って」
えー……やばい。過去のあやまちから予測されるあやまちのパターンが多すぎて怖い。まぁ俺が何かやらかしたことは確定だな……。
「いいよ、言って。心の準備OK」
「はい。……最初に声をかけたのは僕です。二丁目のゲイバー『Lance』で」
「あーランスねー。……えっ? でもキミってノンケだよね?」
「はい。あの店のマスターは僕の伯父なので、ときどき飲みに行くんです」
「へぇ、そうなんだー」
もうやめた方がいいぞ。いつか確実に食われるから。……ノンケに食われた奴に言われても説得力ないか。
「なんで声かけたの?」
「一目惚れです」
「…………そっか。どうもありがとう」
やめろ。その顔面でそのセリフは死ぬ。
「『一緒に飲みませんか』って声をかけたら、『ここ座れよ』って隣の空席をポンポンされて……正直キュンとしました」
えっ……そういうキャラなのキミ。最近の若者って掴みどころないヤツ多すぎじゃない……?
「それで?」
「しばらくおしゃべりしながら飲んで、『俺とホテル行かない?』って聞かれたので、『行きます』と即答しました」
「そうなんだ……」
ゲスだな俺。ゲスの極みだよマジで。
「ホテルに着いてすぐ、『男としたことある?』と聞かれました。『ない』と答えると、夏樹さんは何か考え込む様子でしばらく黙っていました」
「うん……それで?」
「『じゃあ素股でいっか』って笑顔で言われたので、僕も『はい』と笑顔で答えました」
わからん……最近の若者がわからん。そして酔った俺がアホすぎる。
「シャワーを浴びて戻ると、夏樹さんは眠っていました」
「……だろうね」
キミとの出会いから覚えてない時点で、いつ落ちてもおかしくない状態だったろうよ……。
「『素股』と言われたので、僕は夏樹さんの太股にチンコを挟んで」
「ちょちょちょちょお待って! キミまさか素股したの? 寝てる俺を相手に?」
「はい。だめでした?」
100%キミの太股に俺のチンコを挟む方の「素股」って意味だったんだけどな……。
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