クレームの代償

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クレームの代償

「俺はこの店が大好きです。そして小百合に惚れてます。それは力なんかよりも、よっぽど大切な物だと気づきました。俺はこの命を懸けてそれを守りたい! それ以外の力はーーもう俺には必要ない!」  豪鬼は血を流しながら、誠に頭を下げてその決意を伝える。  そしてそれを聞いた誠は…… 「かぁ~!! やっと気づいたかこの鈍間め! ああ、いいよいいよ。こんなカスにお前の血の価値なんて1ミリもねぇや。頭に血が昇っちまった。つい、昔のクセでな。」  誠は嬉しそうに笑う。 「おう、豪鬼。こいつらの足を全部折って、その辺にでも生ごみと一緒に捨ててこいや。あと帰ってきたら話があるからな!」  その言葉を聞いたクズ鬼達は、青ざめながらも、殺されずに済むと安堵するもつかの間、凶悪な表情の豪鬼に睨まれておしっこをもらす。 「テメェら覚悟しておけよ。ボスの許しが出たからな。」 「ヒィぃぃ!」 「では店長、ちょっくらこいつらを川にでも捨ててきます!」  そういうと、豪鬼はその剛腕で4人の氷漬けの鬼族を担いで店を出て行こうとする。  しかし、誠はそんな豪鬼に向かって怒鳴った。 「馬鹿野郎!! 川にそんな汚たねぇもんすてんじゃねぇ! ちゃんと土の中に埋めてこいや!!」 「了解!!」  そのやり取りを周りで聞いていた、他の客は思った。 (それ殺すのと同じじゃ……この店でクレームつけるのは絶対やめよう。)  全員が、そう心に誓うのだった。
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