この店の誇り

1/1
前へ
/13ページ
次へ

この店の誇り

 しかし誠は、そんな奴らは無視して豪鬼に話す。 「豪鬼、立て。よく我慢した。お前は店の誇りだ。」  豪鬼はその言葉に目を丸くする。  いつも厳しい事しか口にしない誠から、思いもよらない言葉を受けたからだ。  一方、無視されていた鬼たちは更に激昂する。 「何くっちゃべってんだよ! この店潰してやんよ! コラ!」  その鬼は座っていた椅子を持ち上げると、それを投げつけ、店を壊そうとし始めた。  そして誠は……キレた!  暴れた事にではない。  豪鬼に土下座をさせた事にだ。 「お前らのようなクズになぁ、豪鬼の土下座の価値はねぇんだよ! こいつの価値はそんなに安くねぇ!」  その瞬間、突然クズ鬼達の足が凍り始める。 「冷た! なんだなんだ!!」 「痛てぇ! 冷たくて痛てぇ!!」  クズ鬼達は極寒の冷気に冷やされると、あまりの痛みに叫んだ。    そう、何を隠そうこの誠という男。  元は鬼の国最強とも呼ばれた鬼人だったのである。  鬼人のみが宿す精霊の加護。  その力は、どれも規格外。  そして誠の持つ精霊の加護は氷。  氷の力を自在に操る誠の前では、目の前にいる鬼達など虫ケラでしかない。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加