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第24話 叔父の暴力
「い、痛っ…!!ちょっと!何するのよっ!よくも突き飛ばしてくれたわねっ!なんて乱暴な女なのっ?!」
ヘルマは起き上がると文句を言ってきた。
「私は突き飛ばしてなんかいないわ!それにどっちが乱暴なのよ!私を叩いただけでなく、髪の毛を引っ張ったくせにっ!」
「うるさいっ!あんたなんか親と一緒に馬車事故で死んでしまえば良かったのに!」
「な、何ですって…?!」
その言葉に再び私の身体が熱くなった。すると…。
「が…は…」
突如ヘルマが喉を押さえて顔が青ざめてきた。
「く、く…あぁ…く、苦し…」
突如ヘルマが喉を押さえて苦しみだした。
「ヘルマ…?」
一体ヘルマは何を苦しんでいるのだろう…?
すると…。
「何の騒ぎだっ?!」
突如叔父が部屋の中に飛び込んできた。そして床にうずくまるヘルマを見て駆け寄った。
「ヘルマッ?!しっかりしろっ!ヘルマ!」
しかし、ヘルマは苦しげに呻くだけだった。すると、叔父は私を睨みつけるとズカズカと近寄ってくると怒鳴りつけてきた。
「フィーネッ!お前っ!一体ヘルマに何をしたのだっ!」
そして私の頬を平手打ちしてきた。
パーンッ!!
その衝撃はヘルマの比ではなかった。一瞬脳震盪を起こしかけ、床に倒れ込んでしまった。そして口の中で鉄のような味が広がる。…どうやら叩かれた拍子に口の中が切れてしまったようだ。
「う…」
ジンジン痛む頬を押さえ、くらくらする頭で叔父を見上げた。すると…。
「ゴホッ!ゴホッ!」
ヘルマが咳き込みながら大きく息を吸い込んだ。
「ヘルマッ?!大丈夫か?」
「だ、大丈夫…」
そして私を睨みつけると言った。
「フィーネ…わ、私に…一体…な、何をしたのよ…?よくも…やってくれたわね…?」
「し、知らない…私は何も…知らないわ…」
口元の血を拭いながらヘルマを見ると叔父が再び私の元へ早足で近付き、憎悪を込めた目で睨みつけてきた。
「フィーネ…今度何か問題を起こそうものなら地下室に閉じ込めるからなっ!分かったかっ!」
「私は何もしていないと言ってるではありませんか!」
しかし叔父は私の訴えに耳も貸さず、背を向けるとヘルマを連れて部屋から立ち去って行った。
バタンッ!!
大きな音で扉が閉められた。激しく叩かれたことで頭痛と目眩がする。
「…う…」
私はよろめきながらベッドに向かうと、そのまま倒れ込んで目を閉じた―。
****
静かな部屋に響き渡る時計の音で不意に私は目が覚めた。部屋の中は窓から差し込む太陽でオレンジ色に染まっている。
「え…ひょっとして夕方…?」
ゆっくり身体を起こすと目眩は治まっていた。
窓から見える木々の間からはオレンジ色に光り輝く太陽が見える。…今は一体何時なのだろう?
壁に掛けられた時計を見ると時刻は6時になろうとしていた。食事を終えた後にヘルマが部屋を訪れ揉め事になった。そしてその直後に叔父が部屋に現れたのは恐らく午後の2時頃。となると…。
「恐らく4時間は経過しているかも…」
まだ荷物整理が終わっていない。そこで再び、私は片付作業の続きを始めた。
そして、この夜…私は驚愕の事実を知ることになる―。
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