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西島さんとはもう一年以上の付き合いになる上、最近の俺の立ち位置は、『気さくに何でも話せる年上の職場仲間』というものだから、彼女はよく会社の話をしてくるようになった。特に不満がある時は話を聞いて欲しいらしく、彼女の方から飲みに誘ってくれて、愚痴を聞くという流れになっていた。お決まりのパターンだ。
「嬉しくないよー。ただでさえ背が高いから、男みたいとか言われてさ。全然可愛げ無いし、誰からも女扱いされないんだもん」
話の流れで可愛げが無いとか、誰からも女扱いされないとか、聞き捨てならない事を聞いてしまった。
俺、もうずっと前から西島さんを意識して、女性として見ていますけど!
これは、今しかないのでは?
ごく自然に、彼氏はいるのかどうかと、聞き出すチャンスだ。
「あ、あのさ・・・・」
緊張で声が掠れる。胃もキリキリ痛みだした。
いかん。体勢を整えよう。喉を潤そうと思い目の前に置かれたブラッディ―マリーを一気に飲み干すと、ウォッカのせいで喉が焼けるように熱くなり、トマトジュースが絡みついて変な感じになってしまった。
慌てて薄めのジンリッキーを注文して口直し。今度こそ聞くぞ!
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