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「じゃあ、また来月来るからね」
双子の姉妹の結と智の祖母が、二人に玄関で帰りの挨拶をした。
「うん」
「じゃあね、おばあちゃん」
「お母さん、今日はありがとう。遠いところから」
双子の母でもある尚美が礼を言う。
「なに、大丈夫。あんただって大事な休みなんだし。それにもう春休みで、二人とも退屈してただろ。おばあちゃんが来れば少しは楽しいんじゃないかね」
祖母の陽子が笑った。
「そんで来月にはまた来るから。電話するよ。二人とも風邪ひかないようにね。おばあちゃんの電話に出てね」
「うん」
「分かってる」
双子は二人で元気よく答える。
「あと、おみやげのお菓子も仲良く食べてね。喧嘩するんじゃないよ。おんなじお菓子だからね。同じだよ」
娘と孫たちに見送られて、祖母は帰っていった。
祖母が見えなくなると、結と智の二人は、待っていたかのように台所に駆け戻る。
「ママ!おばあちゃんのお菓子ちょうだい!」
「ママ!」
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