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「裏切り者」
ナナの冷たい声が、男の耳元で響く。
「私達、一度男に冷めるとまた結束力が生まれるのよ」
リョウコのロープが、トグロを巻くように男の首へ巻き付けるときつく締め上げた。
「私達、✕✕くんから卒業するわね」
男は痺れた手足をもたつかせながら崖に追い詰められ、ロープを引き抜く勢いでそのまま崖の下へと真っ逆さまに落ちていった。
「さ・よ・な・ら」
二人は学生の頃のような優しい視線を交わし、にっこりと微笑み合う。
「きゃあー!」
男を追いかけてきた、別の女が現れた。
「やめてー! ✕✕さんがぁ! いやー!」
あわてふためく女にも、スコップで血の雨を降らしロープの制裁を下した。
ナナはスコップを崖の下に落とし、リョウコが手にしていたロープもそれに従った。
「私達、ライバル、卒業だね」
男が乗ってきた、レンタカーと同じ黄色い車を見つけ、二人はまたドライブへと出かけた。
そこに捨て置かれた女は、残された力で麓まで這う這うの体で逃げてきたが、そこで力尽きたという。
ただ、それ以降のナナとリョウコの行方は、誰も見かけるものはいなかった。
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