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「なぁんて、な。さて、どちらが勝つんだ?」
「✕✕くん、来るの遅いよ」
男は、先ほどの顔とは打って変わって、のんきな表情を浮かべ、飄々として二人の様子を見据えている。
「ナナが生き残るのか?」
「違うわ。勝つのは私の方よ」
リョウコの持つロープがナナの首を捉えた。
「じゃあ、リョウコの勝ちか?」
ナナの持つスコップがリョウコの頭上を大きくかすめ、身体のバランスを失った。その拍子に、首にきつくロープを巻かれたナナもその場に倒れた。
「二人とも、意識を失ったか」
男は二人の容態を確認すると、来た道を振り返りそちらに向かって足早に歩き出した。
「My love! やっと二人きりになれる。俺は自由になった。待っていてくれ。今すぐ行くからな」
二、三歩進むと、男は頭に強い刺激と苦痛を感じた。ナナのスコップが男の頭をめがけて放物線を描いており、その勢いで膝から崩れ落ちた。
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