春の終わり

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いつもより低いその声に、ぞくりとしたものが背筋を走る。だけどそんな思いを悟られないように、オレは平静を装ってコーヒーを一口飲んだ。すると後ろについてきていた風磨にいきなり背中から抱きつかれる。 「おわっ。危ないだろっ」 危うくコーヒーをこぼしそうになって抗議の声を上げるも、風磨はオレをぎゅっと抱きしめた。 「なっ・・・ちょっと・・・」 オレは慌ててコーヒーをテーブルに戻し、身を捩って風磨の腕から出ようとするけど、巻きついた手が離れない。 「風磨っ」 「こうやって・・・」 オレに抱きつきながら、風磨がオレの首元に顔を埋める。 やっぱりいつもの風磨じゃない。 「誰かに抱かれたの?」 触れた唇が話す度に首元で動き、ゾクゾクとした感覚が背筋を走る。 「ふう・・・ま・・・っ」 声が変な具合に跳ねる。 唇が当たってるだけ。 そう分かっていても、後ろからきつく抱かれていると、まるで首元にキスをされているような錯覚を起こす。 「離せ・・・よ・・・」 いつもと違う風磨に違和感を感じながらも、久しぶりの風磨との接触に身体が反応し始める。 自分でも吐息に熱がこもるのが分かる。 やばい。 風磨と会う前のオレだったらこんな状況でも大丈夫だったけど、いまのオレはダメだ・・・。 風磨に初めて抱かれてから別れるまでほぼ毎日行われていた行為は、すっかりオレの身体を変えてしまった。別れてから3年も経つのに、身体は風磨を忘れていない。 「オレが仕込んだこのエロい身体に、男を突っ込ませたの?」 変わらず首元に唇をあてながらそう言うと、風磨は前にまわした左手で胸を撫で、右手をズボンのウエストから滑り込ませる。そして指が後ろの窄みに・・・。 「・・・っ」 何も濡らしていない指が入り込んでくる。 「なんでこんなに柔らかいの?」 さっきよりも低くなった声。だけどそんな事に気づく余裕はオレにはなかった。だって、風磨の指がズブッと根元まで挿れられたから。 「・・・・・・っ!」 滑らない指は入口を擦り上げ、痛みを生じさせる。だけど、そこ自体は柔らかく無理やりこじ開ける痛みはない。 「やっぱり彼氏いるんじゃん。そいついい?オレとどっちが気持ちいの?」 そう言いながら滑らない指を乱暴に抜き差しする。 抵抗しなきゃ。 そう思うのに、風磨の手淫に震える身体は動かない。オレは唇を噛み締めても漏れ出てしまう喘ぎを、両手で塞ぐのが精一杯だった。 「・・・ん・・・っ・・・ぅん・・・っ」 いつの間にかズボンが下げられ、胸の手が前を捉えている。その手で扱かれ高められた昂りから溢れ出す液を後ろに擦り付け、滑りを良くした指はさらに激しく動き、増えた指が中を擦りあげる。 「ふ・・・ぅん・・・っ」 何度も犯されたそこは風磨の指を覚えている。 久しぶりの風磨の指に、飢えた身体はさらに快感を求めて締め付けた。 「・・・すごい・・・中めっちゃ蠢いてる・・・」 風磨がオレの首元から首筋を舐め上げ、さらに辿り着いた耳の穴に舌を入れる。そして卑猥な音をさせながら耳を犯すと、後孔から指を引き抜いてもっと太くて固いものをあてがった。 あっと思う間もなく、風磨はそれを奥深くまで突き挿れる。 「あぁ・・・っ」 もう口など押さえていられない。 オレは激しく突かれる衝撃に、テーブルの端を握った。その振動でマグカップは床に落ち、派手な音を立てる。それでも風磨は止まらず激しく腰を打ち付けてくる。 「他の男になんか抱かれるな。ここはオレだけのものだ」 ガンガン腰を動かしながら苦しげな声でそう言うと、風磨は一際深く突き挿れた。 「オレだけを感じて・・・っ」 ぐっと押し付けられる腰がぶるっと震える。そして中に感じる熱い迸り。オレの方は激しい抽挿にすでに途中で果て、けれど止まらない突き上げに上り詰めたまま、散らない快感に意識を奪われる。
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