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憂は寝るのが早いと暁士が言っていた通り、八時くらいになると、憂は一人でシャワーを浴びて歯を磨き、ソファの上にブランケットを運んできて寝てしまった。
それでも初歌は暫く、座布団に座ってぼんやりテレビやスマホを眺めていた。
ここの写真を撮って友達に送ってみようかと考える。
暁士当人も、できればそうしてくれと言っていた。
しかし結局写真は撮らず、することもなくなったので、初歌も九時を過ぎる頃にはシャワーを借りてロフトに上がった。
最近は憂の寝床になっていたというロフトには、マットレス型のベッドがあった。シーツは清潔で、最近洗濯された雰囲気だった。
ただ、インテリアやら匂いやら、やはりここは男の家なんだなと思う。
彼氏を作る前に、自称退魔師らしい男の家でベッドを借りたと知ったら、今時随分お堅い初歌の両親は大爆発するかもしれない。
考えてみると、そんな呑気なことを考えるのも久しぶりだった。
今夜は、あの後もう一回鳴ったインターフォンを除き、おかしな音も視線も感じない。
ほうと、深く息を吐いた。
体と瞼が重いのは、疲れているからだ。
いつの間にか初歌は、眠り込んでいた。
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