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「ヒャッハー!!」
その男は暴れていた。
細身の身体に2本の傘を両手に持って、口の両端を裂けるのではないかというほど持ち上げて笑いながら。
これだけだとたまにいる下校中の小学生男子みたいなことをしているイカれた成人済みの男性である。だが、この男の厄介なところはその傘に殺傷能力があることだ。
笑いながら男は近くにいた人々を傘で突き刺し、切り裂く。内臓が飛び散るところはモザイク処理をして欲しいが、残念ながらこれは現実であるため、そんな気遣いは期待できない。
俺はその傘の犠牲にならないように必死に逃げるしかなかった。
「ヒャッハー!!」
さっきから男は三下みたいな声を上げているが、その怖さは三下どころではない。
だが、よく考えると、男がやっていることはテレビの悪役の三下がやっていることとそこまで変わらず、三下は一般人にとっては恐ろしい奴であることを実感した。これからは三下を馬鹿にするのを辞めよう。
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