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揺れが収まったあと、倒れた男にその場にいた人々が近づく。
「……死んだのか?」
男を足でつつく奴がいた。
死人に対してどうなんだ、とも思う。だが、暴れて何人もの人々を殺した男に手を触れたくない気持ちもわかったため、何も言わなかった。
「それにしても、何で傘で暴れたんだ?」
周囲を囲っていた青年の1人が傘を持ち上げる。
確かに凶器として振り回すのに、傘はどこか頼りない。
思わず俺も傘をじっと見ていたら、持っていた青年がこちらを向いた。
すべての感情を消したような無表情で。
「なん………っ!?」
すべて言い終わる前に、腹に激しい痛みと熱を感じた。
目を下に向けると、傘の先端が腹に埋まっている。
口からゴボッと何かが逆流する。それは錆びた鉄のような味がしていた。
モヤがかかる視界で、青年が口角を裂けるほど持ち上げて笑っていた。
「ヒャッハー!!」
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